豪雨・台風で出た事業所の災害ごみは誰が処分する?産業廃棄物の扱いを解説
豪雨や台風で店舗・事務所・工場が浸水すると、壊れた什器、濡れた商品、泥の付着した設備などが一度に発生します。
こうした廃棄物を見て、「災害で出たごみだから、自治体の仮置場へ持ち込めるのではないか」と考える方もいるかもしれません。
しかし、事業所から出た廃棄物は、災害によって使用できなくなったものであっても、原則として事業者の責任で処理します。家庭向けに開設された災害ごみの仮置場や臨時回収を、事業所が利用できるとは限りません。
この記事では、災害時に店舗・事務所・工場などから発生する廃棄物の考え方と、処理を依頼する際の注意点を解説します。
災害ごみは、すべて自治体が回収するわけではありません
2026年8月13日の大雨を受け、千葉市は災害ごみの出し方を案内しました。
千葉市の案内では、災害が原因で使用できなくなったものでも、事業所から出たごみは「産業廃棄物」または「事業系一般廃棄物」に該当するため、家庭向け仮置場への持ち込みや回収申込みは利用できないとされています。収集運搬・処分についても、平常時と同様に事業所の責任で行う必要があります。
災害時の受入制度や特例の有無は、災害の規模や自治体によって異なります。被災後に廃棄物を動かす前に、事業所が所在する自治体の最新情報を確認してください。
家庭の災害ごみと事業系廃棄物の違い
家庭で使用していた家具や家電などが水害で壊れた場合は、自治体が設ける災害ごみの回収制度の対象になることがあります。
一方、店舗、事務所、工場、倉庫、建設現場などの事業活動に伴って発生した廃棄物は、家庭ごみとは別に扱われます。主に次の二つに分かれます。
産業廃棄物
廃棄物処理法で定められた種類に該当する廃棄物です。災害時の事業所では、次のようなものが該当する可能性があります。
- 壊れたプラスチック製什器や容器:廃プラスチック類
- 金属製の棚、機械部品:金属くず
- 割れたガラスや陶磁器:ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- 漏出・回収した廃油:廃油
- 浸水した機械や設備の一部
- 復旧・解体工事で発生した木くず、がれき類など
事業系一般廃棄物
事業所から出た廃棄物のうち、産業廃棄物に該当しないものです。事務所から出る紙類や生ごみなどが代表例ですが、廃棄物の種類だけでなく、排出した業種や発生工程によって区分が変わる場合があります。
見た目だけで判断せず、自治体または廃棄物処理業者へ確認することが重要です。
災害時でも排出事業者の責任はなくなりません
廃棄物処理法では、事業者は事業活動に伴って生じた廃棄物を、自らの責任で適正に処理することが基本とされています。
処理業者へ委託した後も、排出事業者の責任がなくなるわけではありません。環境省も、最終処分が終了するまで適正な処理を確保するため、排出事業者が必要な措置を講じることの重要性を示しています。
災害直後は早く片付けることを優先しがちですが、無許可業者への委託や、許可範囲外の廃棄物の引渡しは避けなければなりません。
災害時に事業者が行う5つの対応
1.人命と安全を最優先にする
浸水した建物では、漏電、倒壊、ガラスの飛散、薬品の流出などが起きている可能性があります。安全が確認されるまで、廃棄物の搬出や分別を始めないでください。
2.廃棄物を混ぜる前に分別する
廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず、木くず、紙類などを可能な範囲で分けます。混合すると処理が難しくなり、処理費用が増えることがあります。
濡れた廃棄物は通常より重量が増えるため、運搬車両の積載量にも注意が必要です。
3.危険物を分けて保管する
次のものは、ほかの廃棄物に混ぜないでください。
- リチウムイオン電池、モバイルバッテリー
- 灯油、ガソリン、廃油
- 薬品、農薬、塗料
- ガスボンベ、消火器
- 蛍光管、水銀使用製品
- PCBを含む可能性がある古い電気機器
- アスベストを含む可能性がある建材
容器の破損や液漏れがある場合は、むやみに触れず、消防、自治体、設備の管理会社または専門業者へ相談してください。
4.許可業者と契約内容を確認する
産業廃棄物を委託するときは、少なくとも次の点を確認します。
- 収集運搬業者が必要な地域・品目の許可を持っているか
- 処分業者の許可品目と処理方法が廃棄物に合っているか
- 委託契約書が締結されているか
- 契約書に対象品目や処理料金などが記載されているか
- 処理困難な危険物が混入していないか
既存の契約がある場合でも、災害によって普段とは異なる廃棄物が発生すれば、契約品目や処理先の追加・変更が必要になることがあります。
5.マニフェストで処理状況を確認する
産業廃棄物の処理を委託する場合は、原則としてマニフェストを交付し、運搬から最終処分までの流れを確認します。緊急時でも、独自の判断で省略せず、自治体から特別な案内がある場合はその内容に従ってください。
災害時の処理費用を抑えるためにできること
水害廃棄物は水分や泥を含むため、通常より重くなり、運搬・処分費用が増える傾向があります。また、異なる種類の廃棄物を混ぜると、再資源化できるものまで混合廃棄物として扱われる可能性があります。
安全を確保したうえで、次の対応を行うことが費用の抑制につながります。
- 金属、木材、廃プラスチック類などを分別する
- 雨水がかからない場所や容器で保管する
- 廃棄物の種類・量・保管場所を写真で記録する
- 処理業者へ写真を送り、必要な車両と容器を相談する
- 保険申請に備え、被災状況と処理費用の資料を残す
ただし、危険物や有害物質を無理に分別することは事故につながります。安全性に疑問がある場合は、現状を保ったまま専門業者へ相談してください。
平常時に準備したい「廃棄物BCP」
災害発生後に初めて処理先を探すと、車両や処理施設が混み合い、復旧が遅れる可能性があります。平常時から次の項目を整理しておくと、緊急時に動きやすくなります。
- 廃棄物処理業者の緊急連絡先
- 発生が予想される廃棄物と危険物の一覧
- 分別場所と一時保管場所
- フレコンバッグやコンテナなどの手配方法
- 既存契約の許可品目と処理先
- 写真、計量票、マニフェストなどの記録方法
- 担当者が不在の場合の代理責任者
事業継続計画に「被災した設備や在庫を、誰が、どこへ、どのように搬出するか」を加えておくことが重要です。
産業廃棄物はGATE株式会社へご相談ください
豪雨や台風で店舗・事務所・工場などから廃棄物が発生した場合は、廃棄物の種類、量、保管状況を確認したうえで、適切な収集運搬・処分方法を検討する必要があります。
GATE株式会社では、産業廃棄物の収集運搬について、現場の状況や廃棄物の内容に応じた車両・回収方法をご提案します。被災した廃棄物を動かす前に、現場全体と廃棄物の写真をご用意いただくと確認がスムーズです。
なお、廃棄物の種類、排出場所、当社の許可範囲、処理施設の受入状況によっては対応できない場合があります。自治体の災害時対応も地域ごとに異なるため、まずは自治体の案内をご確認のうえ、お問い合わせください。
まとめ
災害によって使用できなくなったものでも、事業所から出た廃棄物は、原則として事業者の責任で処理します。家庭向け仮置場へ持ち込めるとは限りません。
災害時こそ、廃棄物の区分、処理業者の許可、委託契約、マニフェスト、危険物の分別を確認することが大切です。早期復旧のためにも、平常時から処理業者との連絡体制や一時保管場所を決めておきましょう。
※本記事は一般的な制度と千葉市が2026年8月に公表した案内をもとに作成しています。災害時の受入制度や特例は自治体・災害ごとに異なるため、実際に処理する際は、所在地の自治体および許可を有する廃棄物処理業者へご確認ください。








