リチウムイオン電池の混入で火災に|事業所・工事現場で気をつけたい分別と処分方法

リチウムイオン電池の混入による火災への注意を呼びかける画像。モバイルバッテリーと充電式工具を描き、「混ぜない・壊さない・事前に伝える」と表示。

モバイルバッテリーや充電式工具、コードレス掃除機など、身近な製品に使われているリチウムイオン電池。

便利な一方で、廃棄する際にほかの廃棄物へ混ざると、収集運搬車両や処理施設で火災を引き起こすおそれがあります。

「小さい電池だから大丈夫」「使えなくなったので電気は残っていない」と考えて、混合廃棄物や金属くずに入れるのは危険です。

この記事では、環境省が公表した最新の調査結果をもとに、事業所や工事現場で確認したい分別・保管・処分のポイントを解説します。

市町村の廃棄物処理で、火災・発煙等が年間3万9,282件

環境省は2026年9月29日、市町村におけるリチウムイオン電池等の処理状況について、2025年度の調査結果を公表しました。

リチウムイオン電池等が原因と疑われる火災事故等は、発煙・発火を含めて3万9,282件。このうち、職員または消防隊による消火が行われた事案は9,456件でした。

注意したいのは、この数字が市町村の一般廃棄物処理に関する調査結果であり、産業廃棄物処理施設だけの事故件数ではないことです。

ただし、廃棄物を集め、運び、選別し、破砕する工程は産業廃棄物処理にもあります。事業所や工事現場から出る廃棄物でも、電池の混入防止が重要です。

なぜ廃棄物に混ざると危険なのか

リチウムイオン電池は、強い衝撃や高温によって発火することがあります。廃棄物に混ざった電池が圧縮・破砕されると、内部の損傷によって発煙・発火につながるおそれがあります。

例えば、次のような場面が危険です。

  • 混合廃棄物の袋やフレコンに、電池内蔵製品を入れる

  • 金属くずと一緒に、充電式工具のバッテリーを出す

  • 電池が残った製品を、ほかの廃棄物と一緒に圧縮・破砕する

周囲に紙やプラスチックなどがあると、電池の発火が大きな火災につながる可能性があります。

火災は従業員の安全を脅かすだけでなく、車両・設備の損傷、処理の停止、回収の遅れにもつながります。排出する段階で混ぜないことが、事故防止の第一歩です。

工事現場や事業所で見落としやすい電池使用製品

注意が必要なのは、単体の電池だけではありません。製品の内部に電池が入っている場合もあります。

確認したい製品の例 排出前の確認ポイント
モバイルバッテリー 本体そのものを電池使用製品として分ける
充電式ドライバー・工具 本体だけでなく、予備バッテリーも確認する
スマートフォン・タブレット 内蔵電池の有無を確認し、無理に分解しない
ノートパソコン 電池を取り外せる構造か、取扱説明書で確認する
コードレス掃除機 本体内部の電池を見落とさない
充電式ライト・小型扇風機 小型のプラスチック製品でも電池の有無を確認する

製品によって使用している電池は異なります。見た目だけで判断せず、本体表示や取扱説明書を確認し、不明な場合はメーカー・販売店へ問い合わせましょう。

排出事業者が実施したい4つの対策

1.ほかの廃棄物へ混ぜない

電池と電池使用製品は、混合廃棄物、廃プラスチック類、金属くずなどへ無断で混ぜないようにします。

現場では「電池を入れない」と伝えるだけでなく、モバイルバッテリーや充電式工具など、具体的な製品名を示すと分別しやすくなります。

工事に複数の会社が入る場合は、元請・協力会社・現場作業員の間でもルールを共有しましょう。

2.取り外せない電池は無理に取り出さない

電池を取り外すために製品を壊したり、工具でこじ開けたりすると、電池を傷つける危険があります。

取り外しを想定していない製品は、無理に分解せず、電池が内蔵されていることを回収先へ伝えてください。NITEも、リチウムイオン電池搭載製品を分解しないよう注意喚起しています。

3.端子の接触を防ぎ、指定された方法で保管する

取り外した電池は、金属端子がほかの電池や金属に触れないよう、回収先の指示に従って絶縁します。端子部分を絶縁テープなどで覆う方法が、短絡防止対策として示されています。

ただし、絶縁すればどの状態の電池でも安全になるわけではありません。

保管容器、置き場所、数量、搬出までの期間は、電池の種類や状態に応じて回収先へ確認してください。直射日光や高温、落下・圧迫を避けることも大切です。

4.回収依頼の前に、電池の情報を伝える

回収当日になって電池が見つかると、予定していた処理先で受け入れられない可能性があります。

依頼時には、次の情報を整理しておきましょう。

  • 製品名、メーカー、型式

  • 電池単体か、製品に内蔵されているか

  • 数量と、おおよその重量

  • 膨張、破損、液漏れ、水濡れの有無

  • 発熱・発煙したことがあるか

  • 現在の保管場所と保管方法

写真を用意する場合も、安全に撮影できる範囲にとどめ、確認のために電池へ触れたり動かしたりしないでください。

膨張・破損した電池は、通常品と同じ扱いにしない

膨らんだ電池を押して元に戻そうとしたり、穴を開けたりするのは危険です。NITEは、膨張したモバイルバッテリーに力を加えたことで、内部ショートから発火した事例を紹介しています。

異常がある電池は使用・充電をやめ、状態をメーカーや対応可能な回収先へ伝えて、扱いを確認しましょう。

通常の電池回収ルートで、膨張・破損品も受け入れられるとは限りません。事前確認なしに持ち込んだり、宅配便で送ったりしないことが重要です。

なお、環境省が公表した膨張・変形電池の対応事例集は、自治体の取り組みをまとめた参考資料です。特定の保管・処理方法を一律に推奨するものではありません。

発煙・発火した場合は、人の安全を最優先に

煙や炎が出ている電池を、素手で持って運ぼうとしないでください。周囲へ知らせ、安全な場所へ避難し、119番通報してください。

NITEは、小型の電池搭載製品の発火に対して、まず身の安全を確保し、消火器や大量の水で消火する方法を案内しています。ただし、無理な初期消火は禁物です。

大型電池や、多数の電池がある場所、廃棄物の山・処理設備内の火災に、小型製品向けの対応をそのまま当てはめることはできません。施設の緊急対応手順と消防の指示に従ってください。

事業所から出る電池は、処分先を事前に確認する

家庭向けの回収ボックスや自治体の回収方法を、そのまま事業所の廃棄物に利用できるとは限りません。

事業所で使用した電池や電池内蔵製品は、メーカーの回収制度や処理業者などに、事業系のものを受け入れられるか確認してください。

確認したいのは、回収の可否だけではありません。

  • 対象となる製品・電池の種類

  • 膨張・破損品への対応可否

  • 梱包・絶縁・保管の条件

  • 運搬方法と処理費用

  • 必要な契約・マニフェストなどの手続き

「産業廃棄物を回収する業者なら、どんな電池でも回収できる」と考えず、個別の受入条件を確認することが大切です。

まとめ|電池は「混ぜない・壊さない・事前に伝える」

リチウムイオン電池による火災を防ぐには、処理施設側の対策だけでなく、排出現場での分別が欠かせません。

特に、次の3点を徹底しましょう。

  1. ほかの廃棄物へ混ぜない

  2. 無理に分解・圧縮・破損させない

  3. 電池の種類と状態を、回収前に伝える

小さな電池でも、収集車両や処理施設の火災につながるおそれがあります。廃棄する前の確認が、現場の安全と安定した廃棄物処理を支えます。

産業廃棄物の回収をご相談される方へ

GATE株式会社へ回収をご相談いただく際は、廃棄物の中に電池や充電式製品が含まれていないか、事前にご確認ください。

含まれる場合は、製品名・数量・状態をお知らせください。電池の種類や状態によって回収・処理の条件が異なるため、本記事はリチウムイオン電池の受入れを保証するものではありません。

参考資料

※本記事は2026年9月30日時点の公表情報に基づいています。個別の回収・保管・処分方法は、製品メーカー、対応する処理業者、所管自治体などへ確認してください。


よろしければシェアお願いします

GATE 出張対応エリア

埼玉県、東京都を中心に承っております。詳しくは対応エリアをご確認ください。

PAGE TOP